2010年02月22日
侍功夫責任編集『Bootleg Vol.0』
夜のプロトコルのイベントの際に出演者の伊藤聡さんが寄稿した映画評論集が発売してあったので、これ幸いと購入した。元々は文学フリマに出品された際に瞬殺で売り切れた同人誌で、田舎暮らしのワタシは当然ながら指をくわえてみているしかなかったものである。増刷されるなんてこの手の同人誌には異例のことではないか。ありがたいことである。
はっきり好みでないというか期待外れな文章が一つ、文章の背景を共有してないためピンとこなかった文章が一つあったのを除けば楽しく読める文章ばかりでやはり買ってよかった。破壊屋さんの「エンドクレジットの世界」みたいな文章は雑学として楽しめるし、侍功夫さんのロバート・ゼメキス論は、分かったつもりになってるこのヒットメイカーについてグイグイ論じる文章でヤラれた。
先日とある編集者と話をしたときに、ワタシのブログの映画についての文章を参考にしている、と言われて面食らった。映画に関する文章は反応も少ないので好き勝手書かせてもらっているので驚いたわけだが、こういう本を読むと今更ながらレベルの違いを思い知らされる。
本書で健筆を奮われている侍功夫さんのゾンビ、カンフー、ロックンロールにしろ、伊藤聡さんの空中キャンプにしろワタシの大好きなブログだが、自分も映画館で観る予定の映画について書いていると、自分が映画の感想を書くのに影響を受けすぎないようチラとしか見ないようにしていて(こちらの一方的な事情だが)ツライものがあったりする。で、自分の感想を書いた後にそれらのブログを見直すと、何と自分は見れてないのかと感じることが多い。
本書を読んで思ったのは、ワタシなどいっぱしの映画ファンのつもりで観ずに済ませている映画についての文章が面白いこと。それは例えば『ジョーズ』の後に作られた三作の続編だったりするのだが、それでもワタシはライトな映画好きとしてコストパフォーマンス重視でチョイスするのに代わりはないだろうね。
とりあえずは『Bootleg Vol.1』が出るのを楽しみに待ちたい。