2008年10月02日
吉田豪『元アイドル!』(新潮文庫)
吉田豪のことは Podcast で聞いている TBS ストリームの「コラムの花道」がきっかけで知り、すごいインタビュアーだなとずっと思っていたのだが、本書が文庫落ちしているのを知って買ってみた。
本書の趣旨については著者があとがきで解説しているのでそれを引用する。
さて、このインタビューではそうやって事前にダメ出しされたことを除いて、こっちが勝手に自粛することなく相手が話しづらい部分にどれだけ踏み込んでいけるのかをテーマにしてみた。
エロ話や実話誌の対談連載でよくある「初体験はいくつ?」的な話ではなく(そういうことが平気で聞ける人はもちろん文句なしに素晴らしいんだが)、昔のアイドルを登場させる番組でありがちな、単なる「バカ話」や「感動話」に持っていくこともなく、何が原因で一時は精神的に壊れて、それをどうやって克服したのかを必ず聞くようにしてみたのである。
なんでそんなことをするのかといえば、答えは簡単。ギリギリで踏み止まった側の意見が、どうしても聞きたかっただけのことだ。
本書は実際そうしたインタビュー集であり、別にインタビューイの全員精神的に壊れていた人ではないが、やはり読んでいてとんでもないよなぁ、という話は少なくない。実際、彼女たちの多くが「裏切られた」という言葉を使っているのにその傷の深さを感じたりする。
著者の「ダハハハハ!」という笑いが完全に記号化していてちょっと気になったとかあったが、まぁまぁ楽しめた。個人的にはいとうまい子さんが一番よかった。
ただこれは書かないわけにはいかないのだが、この文庫版は、単行本から6本インタビューが落ちていて、これはインタビューイ側の判断みたいだが、その中に特に話を読んでみたい人が何人もいたので残念である。それを知っていたら図書館に単行本を探しにいったかもしれず、何でも Amazon でポチっとやることの弊害を感じた。