yomoyomoの読書記録

2015年09月28日

Joe Kutner『ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack』(オライリー・ジャパン) このエントリーを含むブックマーク

表紙

 本書に関しては、ブログで原書を紹介していた縁で、オライリーの高さんから献本いただいた。

 ただ、高さんはどうもワタシの酒の飲み過ぎを気にしているようで、「この本でも読んで、少しは生活態度を正せ」という叱咤の意味合いがあるようだ。確かにだらしなく太りっぱなしだからねぇ……。

 それはともかく本書だが、いかにも理系というかプログラマーらしい精神論よりも合理性と科学的姿勢を感じさせる書き方になっており、本の中で紹介される健康に関する意見には必ず参考文献が付されている。

 本書で参照されている研究を見てみる場合には、使われている表現に注意を払ってください。つながりがある、関連性がある、あるいは関係があるといった表現は、お互いに同期して変化する2つの変数を意味します。しかし、これらの表現は、片方の変化が他方の変化の原因となっていることは意味しません。(xivページ)

 第1章から『情熱プログラマー』などで知られる Chad Fowler の名前が出てきて驚くのだが、当たり前だけど彼のような有名人であっても我々と同じような悩みを持つものなんだね。

 プログラマーのライフスタイル、端的に言えばコンピュータの前で注時間座りっぱなしというスタイルが健康によくなさそうなのはプログラマー自身分かっている。彼らが陥りやすいジャンクフードに頼りがちな食習慣もまたしかり。

 しかし、分かっちゃいるけど――というヤツで惰性に流されがちなところを、本書は各章ごとに問題を科学的に指摘し、(高すぎない)ゴールを定めている。またそのゴールにいたる手順を、「ユニットテスト」、「イテレーティブ」というプログラマーになじみがある表現を用いながら、ひとつひとつの階段の段差を低くする書き方の工夫もなされている。

 本書は、原書の内容に加え、吉岡弘隆さんによる Ingress についての文章が付録に追加されているが、本書自体エクササイズを一種のゲームとみなす視点が、過度でないくらいにあるように思う。

 そうそう、ゲームで思い出したのだが、「8.4 健康のためのゲームプレイ」において Chad Fowler の回想の中に「RPM」という単語が何度が出てくるのだが、コンピュータ分野で RPM というと RPM Package Manager しか知らないのだが、どうもこの文章では違うようだ。その前に出てきたときに何の略か書かれているのをワタシが読み落としているのだと思うが、そこだけちょっと分からなかった。


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