2010年10月25日
渡辺由佳里『ゆるく、自由に、そして有意義に──ストレスフリー・ツイッター術』(朝日出版社)
著者の渡辺由佳里さんから献本いただいた。
これは一応ワタシも本書の取材に協力したからなのだが(ただし、ワタシの回答はあまりお役に立たなかっただろう)、思えば著者と知り合いになったのは紛れもなく Twitter を介してであった。
渡辺さんがワタシの存在を認知したのは、ワタシが彼女の配偶者であるデビッド・マーマン・スコット(本書ではデイヴィッド・ミーアマン・スコットと表記されている)の『マーケティングとPRの実践ネット戦略』の読書記録を書いたことがきっかけだったと思う。何度か Twitter 上で話しかけていただき、彼女のツイートを読んでそのパーソナリティに魅力を感じてフォローしたのだが、当時は飽くまでスコット夫人としか認識しておらず、彼女のこれまでの仕事をまったく存じ上げてなかった。ともあれ、以後現在までツイッター上で楽しくやりとりさせてもらっている。
本書はその著者によるツイッター指南書だが、革命だ、衝撃だ、世界を変える、とやたらと勇ましい書名が多かったこれまでのツイッター本と一線を画す題名が印象的である。内容も肩の力が抜けつつも、「自分らしさを発揮し、楽しく継続しているうちに何か良いことが起きる」ソーシャルメディアとしてのツイッターを使った(広い意味での)パーソナルブランディングについてのアドバイスを含んでおり、文中「remove」と「アンフォロー」を同じ意味で使っているように読めるところがあったり(これらは現在は別物)細かいところで気になる点はあったが、うまくツイッターを使いこなせていないと悩んでいる初心者にとって、糸井重里の推薦文にあるように「いい家庭教師」の役割を果たすのではないか。
反論や異論を述べるときには「あなた」ではなく「私」を主語にした文体にする(41ページ)など読んでいてはっとさせられるアドバイスがところどころにある本だが、本書の白眉は第5章「ストレスなしのツイッター」だと思う。この章では、ツイッターを使う上で遭遇する代表的なストレスとそれに対する対策を論じているが、事例もアドバイスも具体的で身になるものが多く、ツイッターに間接的に関係して最近職場の上司から注意を受けたワタシも他人事ではない。
ただその中で、「日本独自のツイッター文化」としてまっさきに「不遜で女性蔑視、あるいは女性に対していきなり見下した態度で話しかけてくる男性がいる」ことが挙げられているのは恥ずべき話だと思う。
あと本筋から離れるが、「世界で最もクリエイティブなツイッターカップル」ニール・ゲイマンとアマンダ・パーマーが付き合っていることを、ツイッターと実生活の両方から推理したツイッター探偵(ツイッターストーカー?)な話は面白かった。これは著者がこの有名人カップルと現実生活で接点があったからこそ可能だったわけだが、これのスケールを小さくした話は既にいくつも見聞きしている。好むと好まざるにかかわらず、そういう時代を生きていることは覚悟しないといけない。