2008年05月09日
屋根裏監修『世界のサブカルチャー』(翔泳社)
翔泳社のモーリさん(当時)に献本いただいたものである。最初、松岡正剛の帯コピーが手書きに見えて慄いた(笑)。
屋根裏さんをはじめとして曲者揃いの執筆陣の名前を見た時点で予想はしていたが、とんでもない本である。
モーリさんは「本書をひとことで説明するなら、それは日本のインターネッツが誇るアングラサイト「屋根裏」の書籍化です」と書いていて、その狙いはしっかり伝わる出来になっている。そして、本書を読んで思ったのは、モーリさんはこの本を作る時点で翔泳社を退社する覚悟をされていたのだろうということ。でも、そうでないなら……と考えるだに恐ろしい。気楽に他人にお勧めできない本である。
ウェブ関連を除けば本書で取り上げられるコンテンツは、ワタシの知らないことだらけである。相対的に言えば他よりも詳しいはずの音楽分野においても、ばるぼらさんのチョイスのほとんどは、ワタシにとって知らない人(達)の知らないアルバムだ。
明らかに当方は本書の想定読者層(があるとして)から外れている。それなら本書を読んでも少しも楽しめないだろうと思われるかもしれないが、意外にそうでない。20年近く前、ロック雑誌を手にとり、そこに並ぶ名前はほとんど知らないのになめるようにそれを貪り読んだ記憶が蘇った。そういう体験を久しぶりにさせてもらった。
ワタシが唯一ついていけるインターネット関連に関して言えば、P2Pソフトやタブブラウザにわざわざ項目が設けられているのは意味不明だし、Flash 関連はやはりばるぼらさんの『ウェブアニメーション大百科』と重複するものが多いのは仕方ないとはいえ少し残念である。
ただそうはいっても、はだしのゲン公式サイトについて Google 八分されていることがしっかり記載されているなど細部へのこだわりが感じられ、最後のあとがきまで「何なんだこれは」感に満ちた本である。