著者: Electronic Frontier Foundation
日本語訳: yomoyomo
デジタル・テクノロジーとインターネットは、アーティストに、極めて低い制作費、流通費で世界中のオーディエンスに音楽を届け、各々の考えや想像力を基にして音楽を築き上げる力を与えてます。多くのソフトウェア開発者は、オープンソース・ソフトウェアによる潮流とフリーソフトウェア運動の両方を通じて、創作者と大衆に恩恵を与える共有ソフトウェアによる、活気にあふれたコミュニティを創造するために、これらの現実を長い間利用してきました。
EFF のオープン・オーディオ使用許諾書は、音楽や他の表現作品を新しい方法で利用するために、自由と開放性をもたらす両方の運動を取り入れた法律手段を提供します。これにより、アーティストは、著作権表示が原作者である創作者に与えられる限り、作品の複製、配布、改作、そして使用料なしに公に演奏を行う公的な許可を与えられます。
ソフトウェア界の場合と同様に、本使用許諾書は、豊かで活気にあふれた公共物を創作するために、オーディエンスが他人と楽しみを分かち合うことで作品を自由に共有する一方で、自由に各々の作品を共有し、各々の作品を基にして改良する創作者と演奏者からなるコミュニティを育成する助けになることを目的としたものです。
もっと具体的に言うと、本使用許諾書は、アーティスト同士や新しいファンに彼らのオリジナルの作品に音楽を届けたいと思っているアーティストに自由を与える手段として役立つことを目的としたものです。音楽家が、新しいやり方で自由に修正、交換、そして利用可能な「オープン・オーディオ」の集積を共同で作ることができます。アーティストは、テクノロジーが提供する権力と独立性によって、自分たちを宣伝し、新しい可能性を行使するのに、本使用許諾書を利用できます。また大衆が、以前なら決して手に入らなかった新しい音楽の世界を体験しながら、アーティストの評判を高めつつ、作品の複製、配布が奨励されるという「超流通(super distribution)」が可能になるだけでなく、大衆が新しい音楽を体験し、アーティストと直接つながることも可能になります。
音楽やソフトウェアを売るのではなく、ライセンスするということに関して不安に感じることがあるのは事実ですが、それにもかかわらず、我々はこの使用許諾書を、自由の一手段だと考えているからです。我々の目標は、著作権の元々の目的 -- 我々皆が楽しむことができ、アーティストがそれを土台に作品を築き上げることができる、活気にあふれた共有物として創作を行うこと -- の障害となっているように我々には思える現状の著作権法の一部からアーティストやオーディエンスを解放するために、著作権という手段を利用することです。その一環として、我々の信念の一部が、消費者保護法や、勿論のこと言論の自由だけでなく、公正な利用や初回販売権の内容を含んだ著作権法が持つ権利と制限を尊重した使用許諾書として、最良の実践となるべきであることを実証したいのです。本使用許諾書の狙いは、作者へのインセンティブを保ったまま、知識や文化を広げるという、著作権が規定する目的を果たすために、著作権の手段を利用することです。
法的な意味では、この文書は、オープン・オーディオが公的利用のために利用可能となる条件を示す公的な使用許諾書です。この文書の原版は以下のところで入手可能です:
http://www.eff.org/IP/Open_licenses/eff_oal.html
入手、複製、配布、改作、公での演奏、そして属性に関する具体的な条件と制約は以下に述べます。
本使用許諾書は、原作者(達)によって、EFF オープン・オーディオ使用許諾書の条件下で公開されることを明示する警告である "(O)" をつけられた、いかなる作品にも適用されます。もし録音と同時に使用されるなら(録音形態がデジタル、アナログに関わらず)、本使用許諾書は、録音結果(「マスター」の権利)と、そこで演奏される楽曲(「ソングライター」の権利)の両方についての著作権を包含します。
原作者は、本使用許諾書の元で公開された作品の著作権を保持しますが、その作品がここで認可された方法で使用されることについて、全世界での公的許可を与えることになります。以下に具体的に指定された以外の活動は、本使用許諾書の範囲外となります。
もしあなたが音楽家、バンド、もしくはそれ以外のアーティストで、創作作品を可能な限り広範なオーディエンスに体験してもらい、世界中のできるだけ多くの人達の感情と知性に触れたいと思うなら、EFF オープン・オーディオ使用許諾書により、あなたのファンや支持者が、注目を引き、あなたの個性に価値を加える口コミによる宣伝によって、あなたの作品を売り込み、広めることができるようになります。あなたはまた、皆が入手、改良可能な創作表現の共同の集積を構築することを助けることもできます。
そうするためには、作品の複製、もしくは演奏に以下の情報を加えてください:
原作者(達)が公共使用許諾書の条件と規約下で作品を公開することを示す「オープンさ」を表現する、"(O)" という記号
作品の原作者(達)の名前(演奏者とソングライターの両方)
作品の名称、題名(作者が選択すれば)
通常電子メールかインターネット・アドレスによる、原作者代表が指定する連絡手段(作者が選択すれば)
警告、創作された年、そして使用許諾書のバージョン番号
例:
(O) Future Tribe "Gaian Smile" www.VirtualRecordings.com 2001 V.1.0
もしくは
(O) Future Tribe "Imitatio Mundi" future@virtualrecordings.com 2001 V.1.0
本使用許諾書は、アーティストに、彼らの創造的な才能や独自性を、作品のいくらかを公に公開することで、何百万もの人々に宣伝する機構を提供することを目的としたものです。それはまた、音楽家が複製毎の報酬にのみ依存しない新しいビジネスモデルを試みることを可能にする手段としての役割を果たすことも目的にしています。時代の変遷により、音楽家が社会への重要な貢献への適切な報酬を保証する新しいビジネスモデルを考案する創造性を持つことが必要とされています。
以上の文章は、Electronic Frontier Foundation(電子フロンティア財団)による EFF Open Audio License の日本語訳である。訳した原文は2001年4月21日に公開されたバージョン 1.0 である。
本日本語訳は非公式なもので、電子フロンティア財団によって発表されたものではありません。法的に本ライセンスを検討する、自らの作品に本ライセンスを適用するといった場合には必ず原文にあたってください。
本翻訳文書については、Shiro Kawai さんとサカジュンさんに誤訳の訂正を頂きました。ありがとうございました。
2004年10月9日追記:EFF は、オープンオーディオライセンスのバージョン2.0が、Creative Commons ライセンスの Attribution Share-Alike(帰属 - 同一条件許諾)ライセンスになることを発表しています。本訳文は歴史的資料として残しますが、EFF オープン・オーディオ使用許諾書に賛同し、そのライセンスを自身の作品に付与しようと考えている方は、上記 Creative Commons ライセンスの適用をご検討ください。