遅れてきた2013年年忘れ呆談
ベンジャミン(以下ベ)と yomoyomo(以下Y)の与太話。2013年12月30日、長崎の某居酒屋にて。
Y:今年はね、yomoyomo としての活動ではなかなか充実してたんだよね
ベ:ごくごく限られた好意的な方面では、いまや yomoyomo「センセイ」だものね(笑)
Y:それは内輪のジョークみたいなものだから。そんなことより俺が解説を書いた『大山康晴の晩節』だけど、君のことだから買ってくれてないでしょ?
ベ:買ったよ!
Y:嘘付け!
ベ:まあ、買ってないでしょ、とか言うからそう言ってみたわけだが……
Y:だろうと思って君への贈呈分も自腹で買ったから、ほら、君にあげるよ
ベ:あー、この本ね、長崎ではまだ手に入らないんだよね。なんせ長崎じゃ河出書房のほうが人気だからな
Y:ちくま文庫だよ!(ベンジャミンをしばく) ありがたく受け取れや。素晴らしい本だし、いい解説だから読んでみてよ(トイレに行く)
ベ:おおそうか、ありがとさん(何か本に細工をしている)
Y:(戻ってきて)どうかね、いい文章だろ?
ベ:まだ読んでねえよ。で、君が書いたのはどこなの? 大分部のこっち、それともこっち?
Y:「解説」なんだから後の方に決まってるだろ! もともとが素晴らしい本なの。今回ちくま文庫から再発されるにあたって、解説の執筆の依頼がなぜか俺に来たの
ベ:ちくま文庫さんも社運をかけたねえ。(ページを分けながら)長い地球の歴史においていえば、君が書いたこの部分が人類史に相当する部分だな。社運どころか人類をかけたんだねえ
Y:そうそう、40何億年の長い地球の歴史に例えると、ワタシが書いた部分は地球の歴史の中では瞬きに等しい短さの人類の歴史に相当する……ってアホか! ページの執筆分量を地球史に例えるやつがどこにいるんだよ!
ベ:いやあ、君のノリ突っ込みを初めて見た。そっちの方にある意味感動してる(笑)
Y:君の発想にはあきれるが、とにかく良い本だよ。それに書かせてもらったんだから、こんなありがたいことはない
ベ:素晴らしい本だろうけど、帯は俺のものだからな
Y:はあっ?(怒) この本の帯のどこにお前が入って来るんだよ!
ベ:どこ見てるんだよ、その帯は、俺んだぞ!
Y:何言ってやがる、って帯が二つある。なんで? ……もしかして君わざわざ買ってくれてたの? 俺が献本するって言ってたのに、金出して買ってくれてたんだ
ベ:(得意げに)友人が書いたものを買わないわけないじゃんかよ、それくらいの気概はあるさ(まあ初めて君の本買ったし、今回は貯まってたポイントでゲットしただけなんだけど……)
Y:で、どうでした、本の感想は?
ベ:本文の方は未だ読んでないんだよねえ、棋譜とか出てきて将棋に疎い俺には高尚過ぎそうでさ
Y:いやいや、棋譜は飛ばしても内容は分かるように書かれた本だから。ぜひ読んでくれたまえ
ベ:で、本文終章の次から読んでみたわけさ、そしたら文体がすごい老獪というか、あいつこんな文章かけるんだ! って感心してたら、最後に「河口俊彦」って名前があるから、騙された! って思ってさ
Y:アホ、そこは著者である河口老師のあとがきだ。そんなとこ俺が書けるわけないじゃん。俺が書いたのは解説だって
ベ:そうそう、それ思い出して新潮文庫版あとがき飛ばして、ちくま文庫版あとがきから読み始めてさ、また違和感ありながらも読み進めていくうちに棋譜とかが出てきて、もしかしてと思ってページを進めたら「著者しるす」ってあって、まーた騙されたと思ったね
Y:だれが「あとがき」書いたって言ったんだよ。著者でもないのに書けるか! 俺が書いたのは解説だって言ってるじゃん
ベ:常日頃、君から「あとがき読者」としか言われないから、習性であとがきから読んだんだよね。だけどさ、解説のページに辿り着いてからが本当の苦難だったよ
Y:君に関しては「あとがき読者」のさらに上を行く「あとがき一行読者」だと言ってたんだが(「訳者あとがき」の中の、自分の名前が出てくる謝辞のところしかベンジャミンが読まないという意味)。でも、苦難ってなんだそりゃ?
ベ:縦の「解説」の文字の下に何やらアルファベットが横に羅列してたんだよ。(滝川クリステルの「おもてなし」風に)yo(よ)mo(も)yo(よ)mo(も)、あー、よもよもかって理解するために本を回転させられた俺の1秒間を返せよ
Y:縦からの横で違和感あるだろうけど、わざわざ本を横にしなければわからないほどの文字数でもないだろ!
ベ:10万人の購読者が「yomoyomo」の文字を認識するために本の回転を強いられる1秒、あわせると貴重な10万秒を無駄にさせられたんだぞ
Y:無駄にさせたって、「yomoyomo」でか?
ベ:反省してないな(笑)。あれだ、後ろの解説者紹介の所でも回転させられるから、10万人×1秒×2回で20万秒だぞ、時間にすると……ええっともういいや、つまりは20万秒の無駄な労力だ
Y:なんだそりゃ、新規購読者が10万人もいたらそりゃうれしいが、このご時勢それは不可能だっての
ベ:10万部は難しいっておまえ、君を選んでくれた河出書房さんに謝れ!!
Y:筑摩書房だ、バカヤロウ! 読んでないのを屁理屈でごまかすな! ほれ、か・ん・そ・う・は?
ベ:いや、本の回転で頓挫して未だ読んでないんだよ。だから次回の対談までには、君の名前と同じく、KA・I・ZE・N、改善いたします
Y:TOYOTA 式じゃあるまいし改善できるかいまさら。ったくおもてなし活用ばっかりしやがって
ベ:じゃあ君も手を合わせて、みなさん、よ・い・お・と・し・を
Y、ベ:良いお年を!!
注記:本対談は酒の席でのベンジャミン氏の記憶に基づき再構築され、ベンジャミン氏が都合よく書いたものである。