少し前に Digg で Rolling Stone’s List of the 25 Best Rock Rumors Ever という Rolling Stone の記事を知った。ワタシのようなロック年寄りには懐かしい話がいくつもあったので、そのロック界で最も有名な25の噂をざっと検証、というのは大げさかもしれないが紹介しようかと思う。
考えれば、この記事もいずれ日本版ローリング・ストーン日本版に載るのかもしれないが、本屋で手に取ることもないので、そちらには目を瞑らせてもらう。
このポール死亡説はそれだけで長大なページが Wikipedia にできているくらいで、確かにこの手の噂の定番中の定番だろう。日本語のリソースとしては以下のあたりか。
今となってはどうでもよいというか、ワタシがコメントすることもないのだが、当時そういうのを言い立てた連中は、今どんな顔をしてポールの音楽を聴いているのだろう。
これは初めて知った(笑)。
でも彼女が80年代深刻なドラッグ問題を抱えていたのは本当で、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)のリンジー・バッキンガム(Lindsey Buckingham)脱退前の最後のヒット曲 "Big Love" におけるニックスにしか聞こえないあえぎ声は、実はリンジーが声のピッチを調整して作ったのを最近知って驚いたものだ。当時ニックスはリハビリ施設にいたためレコーディングに参加できなかったのだ。
ママス&パパス(The Mamas & the Papas)なんて知らん、という人でも彼らのヒット曲「夢のカリフォルニア」ぐらいは知っているだろう。テレビドラマのタイトルにもなったし、それより個人的にはウォン・カーウァイの映画『恋する惑星』である。あの映画を観た人なら、この曲を忘れることはないだろう。
かくしてキャス・エリオットの死因などどうでもよいのである。
これは噂というより、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の前妻であるアンジェラ・ボウイが1990年以降インタビューなどで言い出した話である(ただし、ボウイは否定)。
なぜ1990年以降かというと、1980年に離婚する際、10年間は夫婦のことを口外しないという約束をしていたため。
つまり、黙ってほしけりゃもっと金よこせということだろう。それが叶わなかったのか、『哀しみのアンジー―デヴィッド・ボウイと私と70's 』という暴露本を出版している。
この三人については、ストーンズの全米1位シングル「悲しみのアンジー(Angie)」のこともありスキャンダラスに語られがちだが、そもそも彼女は受け狙いのボウイなどとは比較できないほどの筋金入りのバイセクシャルで、結婚するときもお互いの恋愛には不干渉という約束だったはずで、そのあたりも通常の夫婦と異なるのに注意すべきだ。
しかし、「ボウイ」は本名じゃないのに、しかも離婚後も名乗り続けるなんて厚かましい女だよな。
このジョン・レノン(John Lennon)殺害の裏に CIA あり、という陰謀説については、フェントン・ブレスラー『誰がジョン・レノンを殺したか?』に詳しいが、結局ははっきりした証拠はあげられなかった(そりゃそうだろう)。
個人的にはどうせ洗脳するなら、CIA もジョンでなくあの役立たずなクソ女(以下略)
これは通称サメ事件と呼ばれ、60年代後半のツェッペリンのオフステージがいかにクレイジーだったかということを語るのに欠かせないが、スティーヴン・デイヴィス(Stephen Davis)の『レッド・ツェッペリン物語』(この本は結論にトンデモも入っているのだが、資料性は非常に高い)においてツアーマネージャーだったリチャード・コール(Richard Cole)が真相を語っている。
彼によると問題の乱交を行ったのはメンバーでなく自分であり、しかもグルーピーのマンコに突っ込んだのはサメではなくキンメダイの頭とのこと。女の子は20回はイッてたそうだ。
あのー、サメでなくキンメダイだったからといってクレイジーには変わりないんですけど(笑)。
映画『ドアーズ』にも活写されているが、ジム・モリソンはドアーズ(The Doors)後期にはぶくぶく太りセックスシンボルではなくなっており、早い話落ち目だったわけで、ニクソン政権が狙うわけもないと思うのだけど。
ちょうどタイミング良く Hotwire News(7月10日)にジム・モリソンの死の真相についての記事がある。
パリのナイトクラブ、"ロック・ン・ロール・サーカス”の元経営者サム・ベネット(60)(中略)の話によると、あの夜モリソンはクラブのトイレでヘロインを過剰吸引し、駆けつけた医者が死亡と診断。騒ぎになるのを恐れたマフィアの麻薬売人がモリソンの自宅に遺体を持ち帰り、浴槽にいれて全てを隠蔽したというのである。27歳で他界したモリソンの死は、検死ぬきで早々と埋葬されたこともあり、常に疑いの眼が向けられていた。ベネットの話はドアーズのジョン・デンズモアが以前に書いたものと一致する上に、その詳細まで明かしている。
これはウソに決まっている(そりゃそうだが)。
なぜならテッド・バンディの犠牲者は、ほぼ皆黒く長い髪が特徴だから。
いわゆる70年代ロックバンドの武勇伝にありがちなホテルで大暴れ→出入り禁止話の一つで、しかもそれが破壊的な性格で知られ、いつも人を笑わせようとしてたけど、いつも仕舞いには人を泣かせてしまう人間だったキース・ムーンなら全然不思議ではない。
ジーン・シモンズがステージで披露するあの長い舌についてはいろいろ言われるが、そんな噂があったとは。
ところでワタシがロックを聴き始めた頃、キッス(Kiss)はメイクを落として活動していた。あの派手メイクを写真で見て、どうして今はメイクを落としたの? と兄に聞いたところ、彼はこともなげに「肌荒れだよ」と答え、後になって「あれは冗談だ」と言われるまで信じていたっけ。
はぁ???
多分ワタシの訳がおかしいのだろうが、意味が分からん。メンツに興味もないのでパス(追記:id:nofrills さんのコメントを受けて修正)。
これが俗に言うマースバー事件で、90年代に入ってストーンズの "Satisfaction" が同じくチョコレートのスニッカーズの CM ソングに使われたときに冗談のネタに蒸し返されたりした。
だからというわけでもないだろうが、1996年インデペンデント紙はマリアンヌ・フェイスのインタビューでマースバー事件について質し、彼女はその事実を否定している。
記者もよく聞いたもんだ(笑)。
おいおい(笑)。
えーっと、なんじゃそりゃ(笑)。
アリス・クーパーはアメリカンハードロックな人なので意外に思われるかもしれないが、実は元々はザッパ門下生で、特に初期は歌詞もシリアスだった。確か「ザッパは良い友人だが、音楽性は相容れない」とインタビューで語っていたような。
また CIA 陰謀説かよ。これはないだろう。
驚いて調べたら、この曲の Wikipedia のページには、わざわざこの都市伝説について長いスペースが割かれていた。
この話には「コリンズはその男性をショーに招待し、スポットライトを彼にあててこの曲を彼に向けて歌った。結局、その男は逮捕された/罪の意識に苛まれて自殺した」という昔の推理ドラマみたいな怖いオチがついていて、このバージョン以外にもいろんな都市伝説(どれも鬱な内容…)が紹介されている。
コリンズ自身はこの噂を否定している。まあ、当時彼が体験した離婚を巡る心象風景を描いたものと考えるのが妥当なのだろう。
今から20年以上前、ワタシは兄から「キースって毎年スイスの病院で全身の血を入れ替えてるんだってよ」と教えられ、長らくそれを「事実」と思い込んでいた(笑)。同じように信じていたロックファンが全世界で一万人単位でいるんじゃないか?
数年前、キース自身がインタビューでこの噂の真相を明らかにしており、空港で会ったジャーナリストに行き先を聞かれ、冗談で「スイスで血を入れ替えてくるぜ!」と言っちゃったのが原因らしい。
えーっ、これは噂でもなんでもなく、ホワイト・ストライプス(The White Stripes)としての公式発表がそうじゃなかったか?
でも、実は二人は元夫婦である噂が広がり、ネット上に婚姻届の画像が流出したこともあった。
が、その後彼らが圧倒的な作品を次々リリースするにつれ、そんなことを気にする人はほとんどいなくなった。実力でスキャンダルをねじ伏せた好例だろう。
いかにもキリスト教原理主義者が言い出しそうな趣味の悪い噂である。
最近になってルー・リードがツアーを行っている傑作アルバム『Berlin』の暗黒サイドと言われるB面でも異彩を放つ "The Kids" で、子供が母親を呼び泣き叫ぶ間奏部については、ボブ・エズリンが家に帰るなり、「お母さんは死んじゃったんだよ。もういないんだよ」と子供達に言い放ち、彼らが泣き喚くのを録音したという鬼畜エピソードが長年ルー・リードのファンの間で伝えられてきた。
伝記本『ルー・リード ワイルド・サイドを歩け』でもこの説が紹介されているが、真相はそうじゃなくちゃんと子役の方に依頼して収録したものだったはずだ。
しかし、いかにもやりそうなんだよね、ボブ・エズリン。
うーん、特に興味ないです。
これの真偽は知らないが、モンキーズのオーディションをクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills & Nash (and Young))などの活動で有名な名ギタリストスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)が受け、落ちたことはよく知られている。
一方でマンソンもポップスターになるのを夢見たごく潰しであり、『Sings』が一番入手しやすいディスクだろう。
出てくる人名はマリマン以外『素晴らしき日々』の登場人物の名前。興味なし。
これは彼の代表曲 "Cross Road Blues" に由来する「クロスロード伝説」だが、キース・リチャーズはかつてロバート・ジョンソンについて語るインタビューでこの伝説について言及し、「でも、この業界で成功した人間は皆、魂を売っちゃっているんだよな」とおどけていた。
そうそう、ロイ・オービソンのサングラス姿を見てるとそんな連想をしちゃうんだよね。