DRMと音楽研究

著者: Cory Doctorow

日本語訳: yomoyomo


以下の文章は、Cory Doctorown による DRM and music research の日本語訳である。


ある音楽研究者が、いかに DRM が障害になるかということについて書いている。レコードや CD で出荷される音楽は、類似性分類などの調査を行う科学者が分析したりいじったりできるわけだが、音楽を再生しかできなくなると(研究用のソフトウェアに暗号化された iTunes/WMA/Real/Napster で取得した楽曲が取り込めないとなると)、ダウンロードされた音楽はこの種の研究が行えなくなる。皮肉なことに、あらゆるダウンロード可能な音楽サービスを始められるようにしたのは、まさにこうした研究なのである。

例えば、MP3 を開発するのには、フィールドテストをしたり、コーデックの質を上げるのにポピュラー音楽でたくさん実験する必要があったのは間違いない。MP3 に替わるものを開発する人は、どうやって iTunes 上の曲で比較試験を行うというのだろう。

間もなく、我々は音楽へのあらゆるプログラマティック・アクセスを失うことになるかもしれない。多くのデジタル音楽が売られたり(iTunes)、レンタルされる(Napster)につれ、DRM の枠にはめられた音楽がますます増えることになる。そうした音楽に我々ができるのは、許可されているプレイヤーで再生することだけである。曲のデジタルデータに再生以外のことを行うのは禁じられるわけだ。DMCA のおかげで、デジタルデータを調べることすら禁じられる。

音楽消費者がデジタルデータに対してできてしかるべきことは、音楽の類似性分類、ビートやテンポの検出、ある曲から別の曲へのクロスフェードなどたくさんある。MIR(訳注:Music Information Retrieval、音楽情報検索)の研究者がデジタルデータにできることとなるともっとたくさんある。あらゆるデジタルデータが我々の手から取り上げられてしまうと、すべてが失われてしまうことになる。我々の音楽は「聞くだけ」のものになるのだ。

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初出公開: 2005年05月12日、 最終更新日: 2005年05月12日
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