Facebookのビジネスモデル

著者: Chris Dixon

日本語訳: yomoyomo


以下の文章は、Chris Dixon による Facebook’s business model の日本語訳を著者の許諾を得て公開するものである。


スタートアップは通常、一つの主要製品なりビジネスイノベーションのおかげで成功する。Google が普通でなかったのは、二つの大きなイノベーションで成功した点にある。それはコアとなる検索製品と、キーワード広告のビジネスモデルだ。さかのぼること2000年、Google がすごく人気だったものの、まったく収入を生み出してなかった頃、彼らのビジネスモデルは先が見えないのというのが世間一般の見解だった。その後 Overture がキーワード広告を発明し、Google も同じモデルを採用した。これが激しくもうかることが分かったし、しかも珍しいことに広告主とユーザの双方により良い体験を与えた。

Facebook は旧来のインターネットのビジネスモデルに依存している。ディスプレー広告である。ディスプレー広告は大抵ユーザ体験を損なうし、また収入の点でもあまり効果的でない。Facebook は Google の2倍のページビューがあるにも関わらず、収入は Google のおよそ10分の1である。Google のページビューあたりの検索収入は、Facebook の100〜200倍という予測もある

Facebook にとっての朗報は、より効果的に広告を狙い、多くの場所に広告を載せる余地がたくさんあること。悪いニュースは、オンライン広告とオフライン広告の両方に一貫したテーマが一つあるとすれば、それは消費者に購買の意思がある場合に広告は劇的に効果を発揮するということだ。Google はその収入の大半を、人々が何か買うなり借りるつもりで検索をする際に得ている。Google には需要を煽る必要がない――需要を収穫するだけである。Facebook を使うとき、ユーザは大抵友達と社交的に交際している。公園のいたるところに広告掲示板を置くこともできるし、それで人々を何も買うつもりがないところから購買の意思を持つよう変えることもあるかもしれない。けれど、公園は雑然とし、広告はあまり効果的でなくなるのがオチだ。

Facebook 株の値段を見積もる場合に重要な問題は、Facebook はユーザ体験を損なうことなくユーザあたりの収入を著しく多く生み出す新たなビジネスモデルを見つけることができるか? ということだ(しかも、ディスプレー広告が一層効果的でない、ますますモバイル化する世界でそれができるだろうか)。多分そのビジネスモデルは、Facebook が期待しているように見える(Twitter もそうだし、多分 Tumblr も)スポンサー提供のフィードエントリだろう。そのモデルについての結論はまだ出ていない。個人的には、フィードの中に広告を挿しこむのがどのようにより優れたディスプレー広告になるのか見えにくい。やはり需要を煽り、人々を何も買うつもりがないところから購買の意思を持つよう変えなくてはならない。もっとありそうなのは、Facebook が新たなビジネスモデルを収益化するために自身の資源を利用することだ――膨大な数の極めて活動的なユーザ、そのソーシャルグラフ、Facebook Connect である。もしそれをやれば、たぶん Facebook には予想される1000億ドルもの IPO 評価をこえる価値があるだろう。もしそれをやらなければ、ずっと下回る価値しかないだろう。


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初出公開: 2012年05月24日、 最終更新日: 2012年05月24日
著者: Chris Dixon
日本語訳: yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)