著者: Derek Sivers
日本語訳: yomoyomo
以下の文章は、Derek Sivers による That’s version ∞. First launch version 0.1. の日本語訳を著者の許可を得て公開するものである。
僕はたくさんのビジネスプランの話を聞く。
その大半は、大量の仕事をこなそうとしている。
例:「これはライブ音楽のソーシャルネットワーキングEコマースポータルで、ミュージシャンや会場であればすべての予定を、音楽ファンであれば空いている日を登録するプロフィールを皆が作る。そして我々はファンとアーティストの日程を結びつけるんだ。そうすれば我々はイベントのチケットを売り、プレビュー音源のデジタルダウンロードを提供できる。ショーの後、アーティストはその晩の動画をアップロードし、ファンは自分が行ったショーの動画を購入でき、同じショーに行った他の人たちを結びつけ、その音楽が好きならこれも好きかもと他の音楽をレコメンドする大勢の人たちを作り出すことができるわけ。あ、それに出会い系機能やリアルタイムチャットもある」
(誇張しているように思われるかもしれないが、残念ながらこれはとても典型的な例である)
僕はこう言わなくちゃならない。「分かった。君はソフトウェアのバージョン番号は知ってるよね? Mac OSバージョン10.4は? 10.5は? 君が今説明してくれたものは、バージョン無限大だよ。それが全部揃うのは未来の話だよね。まずはバージョン0.1の立ち上げに注力しなよ」
その遠大なプランで一つ重要な部分を挙げるなら何になる? 他の誰もやってない目玉機能を一つ挙げるなら何になる? まずはそれだけで立ち上げることだ。その後で残りを追加すればよい。
『Good to Great』(訳注:邦訳は『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』)は、普通の会社として始まり、その後ある時点で偉大な存在となった数百の企業を研究した本である。
著者は、これらの企業がいずれも「ハリネズミの概念」があてはまることに気付いた:自分たちが最高の仕事を行なう一つのことに注力し、それ以外を忘れることだ。
(狐は賢く、多くの技を持っている。ハリネズミはたった一つの技しか知らない。針を出して、体をボールのように丸めることだ。しかし、狐は多くの技を持ってるのに、ハリネズミの技に敵わない。狐はハリネズミを食べることができない。多くの企業は狐のようになろうとする。この本は、勝者はハリネズミのような企業であると語っている)
込み入ったビジネスアイデアがある? それを構成要素にブレークダウンし、その道の専門家に最善の仕事をさせることだ。
ビデオ分野? YouTube がその方面を担っている。Eコマース分野? Amazon のシステムを使えばよい。支払い? PayPal がある。ソーシャルネットワーキング? Facebook だ。
これらの車輪を再発明してはいけない。残されたもの――まだ手をつけられてないもの――に注力するのだ。
その一つのことに特化し、そのニッチにおいて誰も勝てない主力企業になるのだ。
(「バージョン無限大」という言葉は、Jason Fried との会話で出たものだと思う)