著者: Dries Buytaert
日本語訳: yomoyomo
以下の文章は、Dries Buytaert による Open Source in the Enterprise and in the Cloud | Dries Buytaert の日本語訳である。
数週間後、僕は The Future of Open Source in Business でパネルディスカッションに参加する。そこでの議論に備えて、今の考えを書き留め、フィードバックを求めたいと思う。もちろんトレンドはもっとあるが、オープンソースの未来に関する二つの重要なトレンドについて語らせてもらう。
一番目は、エンタープライズ分野のオープンソースが驚くべきペースで伸びていること――Drupal の採用も2009年大きく広がったが、これはエンタープライズ分野における最大の相対成長だった。オープンソースの選択肢は、コストのかかるプロプライエタリな競争相手よりも革新的で、懐に優しく、高い安全性を提供しているという考えがこの動きを増幅させている。二番目は、継続的なイノベーションや更新を可能にするという点で、クラウドコンピューティングが転換的な動きであること――ITチームの負荷を減らす高度に拡張可能なインフラは言うまでもない。
二年前 Acquia を立ち上げたとき、我々はこれらが起きるであろうことを予言していたわけだから、Acquia の戦略がこの二つのトレンドと密接に連携しているのは驚くことではない。Drupal Gardens、Acquia、そして Acquia Search はすべてオープンソースツール上に構築され、クラウドにおいて SaaS として提供されている。オープンソースツールとクラウドコンピューティングの組み合わせが、成功への千載一遇のチャンスを生み出す。それはエンドユーザにとっての真の価値を提供し、企業によるオープンソースのマネタイズを可能にする。Win-Win な状況を作り出すわけだ。
同時に、その先に進み、10年以上前に市販ソフトウェアで会社を始めたときとほぼ同じように、オープンソースの価値の上に SaaS モデルを再定義するチャンスがある僕は考えている。ほとんどすべての SaaS プロバイダはプロプライエタリなモデルを運用している――ユーザはデータをエクスポートすることは可能かもしれないが、その基盤となるコードをエクスポートすることは通常許さない。これらのサービスの多くはオープンソースのコンポーネント上に構築されているのに、オープンソースのプロジェクトや企業よりもプロプライエタリソフトウェアとのほうに共通点が多いのだ。
オープンソース企業がこのモデルを破壊するチャンスが残されており、おそらくそれはオープンソース企業の助けなしには不可能なものだ。Drupal Gardens はこのモデルの良い見本を提供している。
例えば Drupal Gardens のユーザは、Drupal に貢献するだけで Drupal Gardens の改良を支援できる。オープンソースプロジェクトに密着すれば、誰もがそのサービスを具体化する手助けができるのだ。同様に、我々は人々が彼らの Drupal Gardens サイト――そのコード、テーマ、データ――をエクスポートしたり、そのプラットフォームをどんな Drupal ホスティング環境にも移行できるようにしたい。そうすることで、我々は簡単な入り口を提供するが、そこに閉じ込めることなく Drupal Gardens の能力を超えるまで成長することを可能にするわけだ。
それが SaaS の正道である――それが企業に、プロプライエタリな競合相手よりもさらに安全で安価な選択肢を提供し、多くのオープンソースプロジェクトがさらに多くの人たちの手に届くチャンスを与えることになる。これは三重――顧客、オープンソースプロジェクト、オープンソース企業――に Win-Win なシナリオを生み出すが、五年前には見えてなかったあり方である。少なくとも僕には見えてなかった。
2010 Future of Open Source Survey はもうご覧になられただろうか? もしまだなら、オープンソースの行き先についてのお考えを共有したいので、どうか少しだけお時間をいただきたい。
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