紙からウェブへの永続的なリンク

著者: Bob DuCharme

日本語訳: yomoyomo


以下の文章は、Bob DuCharme による Durable Links from Paper to the Web の日本語訳である。

『Free Culture』からの引用については、その日本語版の山形浩生・守岡桜訳に従った。


テクノロジー、それも特にウェブについて、URI を挙げずに語るのが難しくなっている。クールな URI は変わらない(訳注:日本語訳)というが、多くのクールでない URI だってやはり有用なのだ。

これにより、書籍、雑誌、もしくはそれ以外の印刷されたフォーマットで配布するものに書く場合、問題が生じる――情報源となる URI が変わってしまっても、それへの参照をアップデートできないのだ。

Lawrence Lessig の著書『Free Culture』の Penguin Press 版を読むと、初版の脚注に www.webstationone.com/fecha という URI があったのだが、それが変わっていないか疑問を持った。脚注の全文は以下の通り。

"Saints: The Heroes and Geniuses of the Electronic Era," First Electronic Church of America, at www.webstationone.com/fecha, リンク #1 を参照。

脚注の章のはじめに、「以下に登場するリンクのそれぞれについて、http://free-culture.cc/notes/ にいけば#記号の後の番号をクリックすることで、もとの情報源に行ける。もとのリンクが生きていれば、そのリンクに飛ぶ。もとのリンクが切れていたら、その内容に関する適切な参考資料に飛ぶことになる」とある。私はそのウェブページをチェックし、#1リンクの URI が既に変わっているのを知った。この脚注ページには、読者がページ上のリンク切れを知らせることができる電子メールアドレスも載っている。

このアプローチを見て、私は古いコンピュータサイエンスの格言(どうやら50年前に言われたものらしい)を思い出した。「コンピュータサイエンスにおけるどんな問題も、別のレイヤの間接化技法で解決できる」この法則が、こうした見たところローテクな問題を片付けるのを見れて良かった。

話は変わるが、『Free Culture』は優れた書籍であり、あなたの職業や趣味が、知的財産権とみなされうるコンテンツに絡むものならば一読に値する。知的財産権(物理的特性と異なり、その区別に多くの変更がある)の英国、そして合衆国における法的な扱いの歴史についての Lessig の記述は、この問題を理知的に議論したいと思う人にしっかりした基盤を与えてくれる。経験上、Lessig に異を唱える人は大概、彼の意見を誇張して受け売りして書かれた記事に異を唱えている。つまり、そうした人たちは、一次資料にあたってみるべきなのだ。この本の無料版がウェブサイトで入手できるが、紙版のほうが読むのに便利である。私は、何人かの友人に『Free Culture』の無料版を一章か二章読み、書籍を買うかどうか決めるように勧めている。


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初出公開: 2004年07月26日、 最終更新日: 2004年07月26日
著者: Bob DuCharme
日本語訳: yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)
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