著者: Bob DuCharme
日本語訳: yomoyomo
以下の文章は、Bob DuCharme による RSS is not hypertext. Isn't that great? の日本語訳である。
本翻訳文書については、Shiro Kawai さんに誤訳の訂正を頂きました。ありがとうございました。
(本文の初期ドラフトは元々 xml-hypertext メーリングリストに投稿されたもので、Dave Pawson による「ハイパーテキストと RSS の違いは何だろうか?」という疑問に対して投稿されたものであるが、この話題は偉そうな説教にとどめておく以上のものがあるので、ここにまとめなおしてみる)
ハイパーテキストはリンクを公開する手段であり、RSS は特定領域に関するリンクのクラスをマークアップする手段である。
「ハイパーテキスト」の定義を巡って議論をする人たちがいるかもしれないが、XLink における、「人間のユーザに対して表示することを第一の目的としているリンク」という「ハイパーリンク(hyperlink)」の定義が私にはしっくりくる。「表示(presentation)」という単語が鍵である。つまり、双方向的な電子媒体こそが、「ハイパーリンク」を「ハイパー」足らしめるものであるともみなせると思うのだ。そうした意味で印刷された脚注参照はリンクではあるが、ハイパーリンクではない。
RSS は、特定領域のリンクを表現する手段である。ニュースの分野で言えば、あるリソース(もしくはサブリソース――この場合、ストーリーの題名を伝達する特定要素)と別のリソース(ストーリー全体を伝達するウェブページ)との間の関係になる。RSS の構造に適合するものであれば、誰でも自由に必要なものを「ニュース」と呼べるので、RSS はウェブログに恩恵をもたらしてきた。
リンク表示システム(例:ハイパーテキスト、巻末の注、補足情報)と特定領域に特化したリンクのクラス(例:RSS、判例の引用、図書目録参照)を区別すれば、非常に価値のある、多対多の関係を見出すことになる。我々は、リンクの表示スタイルとリンク領域のクラスをうまく組み合わせることができる。リンク領域をハードコーディングする表示スタイルには、この柔軟性が欠けている。もし私が、見出しリンク、判例の引用、そして図書目録参照を全部<a href="http://whatever">こんな感じ</a>でマークアップしてしまうと、そうした柔軟性を失うわけだ――それに図書目録参照のリンクを、判例引用のリンクと違うように表示したいならどうする?
本質的に、RSS のリンクはハイパーテキストのリンクとは違う。RSS のリンクが、ユーザに特定領域のリンクを表示する唯一の人気のある手段であるのも当然である。RSS のリンクをただの「ハイパーテキストのリンク」でない「リンク」と考えれば、それにより行えることの可能性が開ける。例えば、RSS ファイルを読みこみ、そして各見出し、記述、そしてリンクされた記事を、最新ニュースレポートとして印刷用にまとめて XSL-FO ファイルに書くスタイルシートを書くことができる。ここで、読者は「リンク」を自ら辿っているわけではないが、それでも文書の生成過程でリンクは読者のために辿られるので、リンクの存在は読者に利益をもたらしている。昔言われた SGML に関するハックの話をしているように聞こえるかもしれないが、コンテンツから表示情報を分離することで、コンテンツの価値が増すと私は今でも信じている。そうすることで、そのコンテンツでできることが多くなるからだ――たとえ、その「コンテンツ」が、リンクの関係についてのデータであっても。