著者: Dave Winer
日本語訳: yomoyomo
以下の文章は、Dave Winer による Why Apple and Google should blog の日本語訳である。
本翻訳文書については、山形浩生さんと克さんより誤訳の訂正をいただきました。ありがとうございます。
Doc Searls のブログで、Apple や Google の従業員のブログをあまり見かけないのは、勝ち組ならばブログをやる必要はないからだという説を読んだ。
今日は、Apple も Google もブログをやるべき理由を考えてみよう。
Apple の場合、iTunes にポッドキャスティングのクライアントが組み込まれるという昨夜の発表をうけ、ブログ界隈でかなり混乱が見られる。Apple が追加しようとしている機能の設計者として言わせてもらえば、これは良い動きだと思う。
しかし一方で、ジョブスがポッドキャストを「ラジオ版ウェインズ・ワールド」という不快で見当違いの説明をしたこともブログは伝えている。彼の意見は的外れだ。ウェインズ・ワールドはフィクションだが、ポッドキャスティングは現実である。もちろん映画スタジオを所有するベビーブーマー世代の人間にはそんな風に見えないとも限らない。我々はテレビで育った世代なので、我々の思考は20世紀の集権的な単一文化に根ざしている。
もう一つウェインズ・ワールドとポッドキャスティングの重要な違いに、ウェインズ・ワールドがたった一つなのに対し、ポッドキャスティングは数千にも及び、数年経てば何百万に達するであろうことがある。実際、Apple は Mac OS と一緒に出荷する素晴らしいオーディオツールでそれが現実化するのをまさに助けてきたわけである。
今は Apple の人たちが誇れるときだから、彼らの中にブロガーがいてくれたら、質問に答え、セールスマンの役目を務め、参入障壁となって、携帯電話が直に iPod の地位を奪うだろうとビル・ゲイツが iPod を鼻であしらうのに対する返答の役目を果たせるのに。ビル・ゲイツはテクノロジーを大規模に取り入れることを理解していて、ゲイツは自分のところの従業員にブログをやらせている。それに関して言えば、彼は賢明なビジネスマンである。
同じ日に、Tim Bray がフィード版 AdSense の利用規約が意味不明で、しかも誰にコンタクトをとればよいのか分からないのはなぜか、どうしてその人がブログをやってないのか、つまり要するに、Scoble がマイクロソフトに対して、もしくは Zawodny や Beattie が Yahoo に対して(そして Bray 自身は Sun に対して)やっているように、Google とブログ界をつなぐ人がどうしてまったくいないのかということを記している。
Google が本当にウェブを支配するつもりなのか、それともかつての IBM と同じく酔っ払った象のようによろめき、小動物を踏み潰した挙句、やがて落ち目になるだけなのか人々は疑問に思っているに違いない。
Apple も Google もじきに、従業員にブログをやらせるもっと大きな競合相手の攻撃対象になるのは確かだろう。現在の戦いの場(もはや未来の戦いの場ではない)に登場しないだけの余裕があると考えるのは、思い上がりの範疇に入る危険なほどおめでたい行為であり、競争において姿すら見せないことで不戦敗を喫することにもなりかねない。
Dave
追伸:Mac OS における最近のかなりの数のイノベーションが、Dave Winer Labs から生まれたものであるのは注目に値する。それについて Apple が私に感謝しないことは分かっているが、ある程度は賞賛してもらわないといけないとも思う。