1999年を占うはずが・・・
yomoyomo(技術者の端くれ、以下Y)と海坊主(医者の卵、以下海)の与太話。1999年2月1日電話にて。
Y:もう二月になってしまったけど、とりあえずあけましておまんこう。
海:はじまりからそれかよ。
Y:うん、これで初めてみたかったのよね。今年はどういう年にしたいですか?
海:・・・お前なんかある?
Y:だからプロバイダ契約[註1]して Web サイト立ち上げ。あと Linux をインストールしていろいろやりたいね。
海:俺は部活ね。今年だけの話じゃないけど。バレーボールだね。
Y:もう止めろよ。お前腰悪い[註2]んやから。
海:あと勉強もね。何かやる気わいてきたからさ。
Y:今までやる気なかったのかよ。
海:ていうかさ、医学部でもさ、余りに基礎的でね。DNA がどうこう言われてもさあ。よく分かんないよ。それが臨床とどうつながるのか分かんないと。
Y:やっぱ、自分のクローン人間みたりすると色々分かるかもしれんけど。でもさ、自分のクローン人間とか見たいと思う?
海:一回試してみたいと思わん?
Y:君は医学生とは思えんほど危険な思想を持っとるな。
海:いや、だからとりあえずクローンを四五体作るわけよ。
Y:何がとりあえず四五体だよ! その時点から危ないんだよ。
海:いやだからさ、別々の環境にそれらを置いてみて、どうなるか知りたいんだよ。
Y:ああ、なるほどね。例えば、ジョン・レノンのクローンを、父親が外交官、母親が女優というまるで僕のような家庭環境で育てたらどうなるかという。
海:・・・
Y:黙るなよ。まあ、または「北春日部ブルース」を歌うような環境に置くとかね。
海:つまり人間がどの程度外的な環境に左右されるか知りたいんだよ。
Y:ヒトラーを俺のおやじとかーちゃんに育てさせたらどうなるか。
海:君になるんだよ。でも興味あるよね。やれるんならやってみたい。
Y:医学生にそんなこと無邪気に言われてもねえ・・・でもさ、もし自分の半分ぐらいの歳の自分のクローン人間がいて、何話すと思う?
海:12、3歳くらいだろ? その当時思ってたことかな・・・
Y:お前最近オナニーしてるか、とか?
海:ああ、その頃俺やってなかったよ。俺遅かったもん。
Y:誰もそんなこと聞いてねえんだよ!
海:でもその頃自分が何考えてたかあんまり覚えてないんだよ。
Y:俺の場合、12歳の頃人生が絶頂期だったんだよ。
海:あん?
Y:じゃあその後は余生かよって感じだけど、その当時自分が絶頂期にいるって分かってたんだよ。すごいよね。
海:でもさあ、その頃俺何も考えてなかった気がする。何か淡々と過ごしてたね。
Y:俺はイイ感じだった。少年野球で全国大会いった[註3]し。レギュラーだったんだから、この俺が。
海:打順が9番とかじゃねーだろな。
Y:いや、だから7番ファースト。
海:ははは、変わんないじゃない。でもさ、それ俺とおんなじだよ。俺も小学生の頃ソフトボールやっててさ、レギュラーだったんだよ・・・監督俺のオヤジだったんだけど。
Y:それめっちゃ情実じゃん! 愛人に仕事見つけてやるようなもんじゃねえか。
海:俺さ誰から見ても下手糞だったんだよね。でも何故かレギュラーに入ってるんだよ。
Y:お前のオヤジさんけなしたくはないけどさ、少年野球の指導者としては最低だね。
海:ははは、俺にしてみれば試合に出たくも何ともなかったんだよなー。
Y:何やそれ! 普通さ、自分の息子がチームにいたら、周りを気にして逆に厳しくしたりするぜ。
海:この俺をファーストにするわけよ。サードの投げる球が取れなかったもん。
Y:それキャッチボール以前の問題じゃねえか?
海:いや、俺もそこまでひどくはないんだけどさ、チームの中じゃ半イジメ状態だったよ。
Y:そりゃそうだよ。俺だってイジメただろうね。
海:でしょ? でもさ、地区大会優勝したんだよ。
Y:チームとしては強かったんだ。それなら尚更コントラストがあるじゃん。
海:そうそう、どう見てもレギュラー枠に入らないんだけどさ、オヤジは俺をそこに入れるわけよ。お情け程度に8番とか9番にさあ。
Y:俺も8番や9番打ったことがあるから人にはどうこう言えないけど。
海:あのときのオヤジの心境ってそんなもんだったのかなあ。
Y:すっげー私利私欲に決まってるだろ!
海:でも、あれでよく教師がつとまるというか。
Y:お前のオヤジ教師だったんだよな、最低、えこひいきする教師。しょうがねえな。
海:そういう暗い思い出しかないのよね。野球やってても楽しくも何ともなかったもん。
Y:めっちゃ暗いやん。
海:あるときバッティング練習やってたのよ。その日昼の一時から練習で、俺寝坊して三時ぐらいに行ったのよ。
Y:普通許されんよな。
海:そこでさあ、オヤジ俺に微笑みかけてさ、着いたばかりの俺にバッティング練習の順番をまわすわけよ。もう他からブーイングだよ。何で遅れて来やがった奴を優先させるのかってね。
Y:・・・(以下絶句)
[註1] 契約する以前は、仕事、プライベート関係なく全て会社で閲覧してたなんて口が裂けても言えない。
[註2] 海坊主は腰にヘルニアという爆弾をかかえている。数年前、コルセットを付けているのを見て、yomoyomo は唖然としたことがある。腰にコルセット付けてまでバレーボールをやるとは。
[註3] yomoyomo の実家には、件の全国大会の試合において、牽制球で一塁ランナーを刺す始終をとらえた三枚組の写真がある。つまりその一塁手が yomoyomo なのだが、あれ誰が何のために撮った写真なんだろう。今となっては謎である。