『Wiki Way』ショートエッセイ(1)
訳者、書店で『Wiki Way』を探す


 おかげさまで2002年9月2日に発売となった『Wiki Way』であるが、実際に本屋に出向てそれを確かめる時間が取れたのは9月7日の土曜日だった。

 ワタシの住む田舎も中心部には大きな書店が揃っており、最近では稲葉振一郎が「少なくとも横浜より書店環境がいい」と評していた。『Wiki Way』は置いてあるだろうか。

 最初に CD を買いにタワレコに行ったので、その一階下にあるそこそこの大きさの本屋に出向いた…のだが、ない! 発売直後に一冊も置いていないとはちょっとショック。おまけにお目当てのピーター・ガブリエルの新譜もビョークのベスト盤も発売されてなくてがっくり(事前にちゃんと調べておきなさい)。

 続いて丸善に出向く。ざっと棚の下に並べてあるのを探してみたが、ない。『2ちゃんねる公式ガイド』を立ち読みしてから気を取りなおして再度じっくり探してみたところ、棚の端に一冊だけ発見。少し頭に来たので、その一冊を『結城浩のPerlクイズ』の隣に並べておいた。これでパールちゃんとメビウスの環を間違えた人間が買ってくれるはずだ(そんな奴いません)。

 次の書店に向かう足取りは重かった。やっぱりカテゴライズしにくいんだよなあ、単一の言語やプラットフォームに限定されないし(もちろんそれこそが利点でもある)、あえて分類するなら CGI、ウェブサーバ技術といったところだろうが、ASP やら J2EE やら .NET といった今書店にたくさん並んでいる本の内容とは関係ないしなぁ。第一、世界でこれ一冊しかないし…

 しかし、紀伊国屋書店にはちゃんと棚の下のスペースに五冊ほど重ねてあった。碁盤の目状態で取りにくいのが難点だが、贅沢は言えない。しばらくは本を眺めながらブルブルと震え、本を手に取りまた読みながら震えた。端から見たら不気味だったろう。ありがとう、紀伊国屋書店! でも、おたくらのオンライン書店ではもう絶対買い物しないけどね。

 そして最後は真打、ジュンク堂。ここが一番素晴らしかった。棚にあるのだが、背表紙ではなく表紙をこちらに向ける形で並べてくれている(後記:筆者はこの状態を指す言葉を知らなかったわけだが、續木さんから「平積み」であると教えていただきました。ありがとうございます)。抜き取って調べてみると八冊並べてある! これだけ売れると思っているのか!? …と訳者が書いてはいけないのだが、またしばらくブルブル震えてしまった。

 正気に戻って棚を見渡すと、ピアソン・エデュケーションから出ているエクストリーム・プログラミングの翻訳本が隣に並べてある…うぅむ、そういう分類なのだろうか。どうせならその隣の棚のワインバーグ先生の書籍の隣に並べてほしかったがそれは無理な話か。丸善でやったような並び替えをやろうかとも一時真剣に考えたが、さすがに気がとがめた(もちろん丸善でもやってはいけません)。

 誰か『Wiki Way』を買ったら、『サルまん』で相原コージと竹熊健太郎がやったように本をひったくって無理やりサインを書きつけてやろうとしばらく棚の近くでペンを持って待ち構えていたのだが、残念ながらそういう人は現れなかった。

 本当はもう一件大きな書店に行くつもりだったのだがここまでで疲れてしまったので断念。特に今回は何のオチもありませんが、書店で見かけたら『Wiki Way』をとりあえず立ち読みでもしてやってください。よろしくお願いします。


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初出公開: 2002年09月16日、 最終更新日: 2003年04月14日
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