『Wiki Way』のタイトルについては少しあれこれ。
まず原書の副題だが、その表紙には "Quick Collaboration on the Web" と書かれている。しかし、Amazon などのオンライン書店のページなどではどこを見ても、"Collaboration and Sharing on the Internet" になっている。これには作業の最後の最後になって混乱させられた。一体どちらが正しいのか。編集者に調べていただいたところ、「発行後に変更になったようだ」とのことであった。こんなことってよくあるものなのだろうか。
そしてその本を日本語に訳させてもらったわけだが、邦題をどうするかという問題があった。正直「これ!」という邦題をひねり出すことができず、編集者に下駄を預ける形となった。"The Wiki Way" を日本語に訳すなら、山形浩生が指摘するように『Wiki道』というのが正しい(さらに書けば『ウヰキ道』だろうか)。
『○○道』と書くと、何やら堅苦しい求道的な印象を受け、同時にいささか滑稽な印象をもたれるかもしれない。しかし、本家 c2.com における WikiWay ページを見ると、WabiSabi なんて言っていて明らかにそうした精神性(とそれに起因するユーモア感覚)まで踏まえている。となると『ウヰキ道徹底指南』とかいう厳しい邦題が浮かぶわけだが、これはやりすぎか。
なおこの「Wiki Way」という言いまわしは本文中にも登場する。前述の流れを説明することなしに「Wiki道」と書くと読者にヘンな印象を与えてしまうのでどう訳すか悩んだ。ワタシはつげ義春が好きなので「Wiki式」にしたかったのだが、個人的な好みで決めてはいけない。結局最も無難だと思った「Wiki流」とさせてもらったが、dangling link といい、大して難しくもない言い回しの訳に悩まされたのだなあ。
そうした意味では『ウヰキ道徹底指南』ですらまだぬるくて、また『サルにも分かる○○』、『×日で学ぶ△△』といった技術書の濫造に対抗する意味で、『死ぬ気で学ぶウヰキ道』『命にかけてウヰキを極める』といった邦題にしたいところであるが、これじゃとても技術書のタイトルではありませんな。ただそれだけ「濃い」タイトルを付けたいくらい「濃い」本であるのは間違いない。