『Wiki Way コラボレーションツールWiki』発売から一月経ち、これまでに訳者がいただいた直接質問、ウェブ上で見かけた疑問とその答えをいくつか。他にも何か疑問があれば言っていただけるとここで答えるかも。
Q: 値段が微妙に高いように思います。どうにかならなかったのでしょうか?
A: 消費税を入れれば4000円近くになるのですから、「微妙に高い」どころか「立派に高い」と思います。しかしこれは原書からしてそういう本(39.95ドル)なのです。450ページ以上にも上る大著で、同梱 CD-ROM には原書に入ってない Wiki クローンを多数追加収録もしてもいます。どうかご理解ください。
Q: 原書の表紙はエッシャーの『Drawing Hands』でかっこよかったのですが、どうして訳書では変わってしまったのですか?
A: その使用料、というのが唯一無二の理由だそうです。つまり、出版社の方は『Wiki Way』の値段を抑えるべくできるだけの努力をされたのです。訳書の表紙のメビウスの環もエッシャーの絵が持っていたエッセンスをうまく表現していると思います。
Q: ○○という Wiki エンジンが「日本発の wiki クローンリスト」に載ってないけどどうして?
A: あそこで取り上げた Wiki クローンは、オリジナルの実装のものを紹介するというポリシーに従って選択しました。例えば YukiWiki を基にした Wiki エンジンがいくつもありますが、それらは対象外にしています。「日本発の wiki クローンリスト」にも書いてある通り、それらがオリジナルの実装に劣っているということではありません。またあの文章を書いた時点でその Wiki クローンの存在を訳者が知らなかったなら、やはり書きようがありません。
Q: Tiki はインストールもしやすく、機能も豊富で優れた Wiki エンジンだと思います。どうしてそれが付録 CD-ROM に入っていないのですか?
A: それは出版社の意向ではありませんし、ましてや訳者の意向でもありません。ですからその件について当方には何か言う資格がありません。もちろんとても残念に思っています。
Q: あなたが『Wiki Way』訳した人? yomoyomo だって? あんた何者?
A: 普通の奴らの斜め下を行くバーチャルネットアイドルです…というのはもちろん嘘です。肩書きは何もない、一介の技術者です。
Q: そもそもなんであなたが『Wiki Way』を訳したわけ? Wiki クローン作者でもないくせに。
A: 出版者の編集者から依頼があったから…それ以外にありえないでしょう。これは推測ですが、一番最初に僕に声をかけたわけではないと思います。
Q: 出版されて大金入った?
A: 当然出版社からは正当な対価をいただきました。しかし、一冊本を上梓して分かったのは、とてもじゃないがこれだけでは食べていけないという厳然たる事実です。『Wiki Way』翻訳の依頼を受け、出版にいたるまで一年以上かかっています。それでこの印税だけでは生活保護なしには生きていけません。仮に僕が翻訳専業だったとして、年に三冊『Wiki Way』クラスの本を出版できたとします。それでも増刷なしには自分一人養うことすら覚束ない。そして年三冊以上も依頼の来る訳者など一体どれだけいるのでしょう。